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ついに数理論理学の本が出版できた.
「数理論理学」 使い方と考え方 超準解析の入口まで
(内田老鶴圃) 2900円
早稲田大学にきて15年以上たったから, 教科書を書こうと思ってからその程度かかった. とはいえ, まあ, それほど本気で本にしようと思っていなかったのだ. 前書きに書いたのだが, 家族, とくに息子が「一冊くらい本を書け」と強くいうので, まあ本にするかと1 年位前から考えた. ある出版社に相談したのだが教科書らしくないので断られた, こちらもその出版社の傾向では具合が悪かろうとは思っていた. ただ, 出版しようと思ったのだから, どこかの出版社に頼もうとは思っていた.
以前から顔見知りだった内田老鶴圃の内田学さんと話たときも, ちょっと変わった本なので, , , と相談した。数学基礎論というのが, 他の数学の難しさと異なったところで理解し難い状況があることを説明し, そのような障壁を越える手助けをする目的の入門書であるという趣旨を話した. 内田さんは, 「それは教科書なのですね」と何度もいわれた. 本人として正しく教科書のつもりであるから, 「そうです」といい, 内田さんも表現その他がいわゆる教科書らしくないことも承知された上でそのようにいわれた.
そのような状態で出版の準備が始まった. 本当は完全性定理だけを書くのが目的のつもりであったが, それだけだと本にするのは分量が少な過ぎる. 正直な話, 完全性定理の証明を理解できれば, 専門の研究者以外なら数理論理学に関する十分過ぎるくらいの知識があるといってよいと思うのだが, やはりものごとは必要最小限というわけにもいかないものだ, ということで色々書いてしまった. 上記の理解し難い状況というのは, 多少浮き彫りにされているのではないか, と思っているが, どんなものだろうか?
論文は上手とはいえないが書くのは慣れている.
論文だって他人が読むものであるし, この本だって, いわゆる専門書であって普通の人の読む本ではないから同じようなものだが, 書き手の目標が大きく異なる. それで, 何となく恥ずかしい気持ちがする. それに, あと書きで, 他人の著書の感想を書いたことも大きい. 自分の教わった先生の本も, 遠慮なく(それでも少しは遠慮しているが)感想を書いてしまった. 内田老鶴圃の赤字にならない程度には売れてほしいと思う.
4月29日
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